インタビュー
日本に身寄りのない在日コリアンを弁護士としてサポート。
手がけた事件の中で最も印象に残っているのは、在日コリアンの1世で、日本に身寄りのない高齢の女性の財産管理、死後事務、遺言執行を引き受けた事件です。その方は、朝鮮民主主義人民共和国にしか家族がおらず、お互いの想いは強いのですが、国交がないため自由に会うことができません。そこで、依頼者が入院された後、私が財産管理と死後事務を引き受け、看取り、ご葬儀もさせていただき、相続財産と御遺骨は朝鮮のご家族にお渡ししました。依頼者も朝鮮のご家族も私を実の娘のように可愛がってくれましたが、家族が病気になっても駆けつけられない、死に目にも会えない哀しみをそのようにして癒やしていたのだと思います。依頼者は、自分の死後のことを一番心配されていたので、弁護士として彼女をサポートできたことは心に残る思い出です。
朝鮮語で直接やりとりができる。そのメリットはとても大きい。
自身の強みは、朝鮮語ができること。たとえばコリアンの事件でも、朝鮮民主主義人民共和国と韓国の法律は違うので、それを知らないと解決できない問題もあります。原文で法律書を勉強できるのは強みだと思います。コリアンに限らず、外国籍の方の事件は専門性が高い事案も多いので、みなさんの力になれるよう日々の勉強が欠かせません。その分やりがいも大きいです。
日本の小説や漫画が大好き。猫の可愛さにも癒されています。
日本の小説や漫画が大好きで、寝る前の読書を楽しみにしています。萩尾望都さんの漫画は、虐待事件に関わる中で何度も読み返しましたし、心理学者の河合隼雄さんの著作にも、多くの方々の悩みと向き合う上で、ヒントをもらうことが多いです。近所の猫スポットを散策するときは、仕事はすべて忘れて猫の可愛さに没頭しています。