~15周年特集 企業倒産事件、事業譲渡等
90年代のバブル崩壊後、経済不況が長引き、事務所でも個人・会社の倒産処理事件が激増した時代がありました。01年に名古屋北法律事務所が設立された時はその最中。多くの倒産処理案件を手がけることになりました。
会社経営者は手形の不渡りが翌週にも出るといった切迫した状況で相談に来ます。弁護士は、経営者の状況報告を受けながら、貸借対照表等の財務状態、キャッシュフローと当面の資金計画等を確認し、倒産を回避できるか否か迅速に判断する必要があります。
企業の経営状態が悪化し、銀行融資はおろか買掛金の支払いや従業員の賃金の支払いにも支障を生じた場合、一定の運転資金が確保でき大口顧客の支援が期待できて最小限の売上の確保に目処がつく場合には民事再生手続(以前は「和議」といっていました)を申し立てることになります。そうでない場合には、自己破産の手段を選択します。
倒産処理は、一種の外科手術に例えることができ、それを適切かつ迅速に行うためには経験がモノをいいます。名古屋北法律事務所ではベテラン弁護士を中心に様々な業種の倒産処理事件を手がけてきました。名古屋北法律事務所の特徴は、経験を積んだ事務員が多く、弁護士を補助していることです。また、税理士や司法書士、社会保険労務士等だけでなく、不動産業者等の幅広い中小企業とのネットワークを持っていることも役立ちます。
事務所は、倒産に伴い解雇される従業員の雇用にも配慮を払ってきました。倒産を決意する社長が最後まで苦しむのは、従業員に申し訳ないという気持ちです。
甲社は、名古屋市西区にある金型加工の会社。自動車様々な部品の金型を製作して納めています。従業員は、パート、派遣等を含めて20名程。会社が出した手形が2週間後に不渡りになることが確実な段階で相談に来られました。
社長に同行し、弁護士バッジを外して工場を見に行きましたが、立派な工作機械が稼働し、老若男女の従業員が働いています。破産になれば、工作機械はスクラップになり、社員の雇用が失われる。それを回避するため、会社の取引先の乙社の社長と事業譲渡の交渉が始まりました。秘密保持の覚書を手交して甲社の計算書類、社員の賃金規定等を全て開示。乙社は、税理士を交えて検討した結果、有利子負債を減らして当面の運転資金を補填すれば、何とか採算が確保できるという見通しが立ちました。社員の雇用も全部引き継げるということに。工作機械、設備、車両等の査定、在庫部品の評価等について協議し、売却金額を決めました。工場は借家ですから大家さんの同意が必要となり交渉したところ、乙社は信用できるので新たに賃貸借契約を締結することを承諾。破産申立直近の時期に会社資産を不公正な価格で譲渡した場合には(会社資産を叩き売りした場合等)、破産管財人から売却を取り消されます(否認権)。そこで、事業譲渡契約では、後日、管財人に対する説明責任、譲渡価格の見直しのための協議を行うことを条件としました。これらの準備を整えた上で破産の申立を行いました。破産によって銀行や多数の債権者に御迷惑をおかけすることになりましたが、従業員の雇用は維持でき乙社で今も働いています。
名古屋北法律事務所では所属弁護士が倒産事件に積極的に取り組んでいます。詳しくはこちら
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