~15周年特集 アスベスト吸引による労災申請
1 アスベスト粉じんの吸引による労災
アスベスト(石綿)は、鉱石でありながら糸のように織り布状にすることができるため、「夢の鉱石」などと謳われ、耐火材・耐熱材として建物に多く使われてきました。しかし毒性が強く、肺がんや中皮腫等を引き起こすことがわかり、現在では新たな使用が禁止されています。昔建てられた建物には大抵アスベストが使われていたため、建設業や解体業に携わってきた多くの労働者が、業務中にアスベスト粉じんを吸い込み、それが原因で数十年後に肺がん等を発症して社会問題化しています。業務に関連してアスベストを吸引し、そのために疾病を発症し、療養や休業を余儀なくされた場合には、労災補償の対象となります。
2 約30年前のアルバイト
ある日息苦しくなって病院に行ったところ中皮腫と診断されたという方から相談を受けました。中皮腫はほとんどアスベストを原因として発症し、急速に進行する肺の病気です。職歴や生活歴を振り返ってみると、どうやら約30年前の学生時代、建物の廃材を用いた埋立工事の現場でアルバイトをしていた際にアスベスト粉じんを吸い込んだようだということがわかりました。
3 アスベスト被害対策弁護団と共同しての事件解決
中皮腫がアスベストを原因として発症したことは疑いないとしても、当時学生であったご本人がアスベストを吸い込むような仕事をしていた事実をどう説明するか、という点が問題となりました。約30年前のアルバイト先の会社はすでに存在しておらず、埋立工事に関する当時の資料も残っていませんでした。アスベスト被害対策弁護団の弁護士と共同して受任し、元従業員の方のご協力を得たり、ご本人の詳細な陳述書を作成したりするなどして労働の実態を立証し、労基署に直接出向いて、なんとか労災認定を勝ち取ることができました。
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