事務所だより

晩秋の石津山、多度山を歩く(続) 豆電球No.77

2008年11月27日

晩秋の石津山、多度山を歩く(続)

石津御嶽神社の山頂の西側に面したところに日だまりがあり、そこでおにぎりを食べる。
樹木に遮られて展望は余り良くないが、養老山や藤原岳等の鈴鹿の山が見える。
西側に面したところでは、風の音が東側斜面と全く違う。「ザーッ」という音が遠くから、徐々に近づいてきて大きくなる様は、日本海側からの冷たい風が吹き付ける鈴鹿、養老山地の山らしい。風のざわめきという言葉がピッタリだ。
紅葉が美しい御嶽神社を後にして、多度山への縦走路を歩き出す。

道がわかりにくい場所があるが、東側の濃尾平野、木曽山川をところどころから眺めることができ、快適なハイキングコースである。三岐鉄道の音も聞こえる。落ち葉を踏みしめながら1時間ほど歩くと多度山の分岐ん到達する。
石津山ほどコースの整備は良くない。沢筋を歩くところは、すべりやすい。
このコースのおもろしいところは、展望が良いことと、標高が低いにもかかわらず植生か多様であることだ。紅葉の季節だから紅葉が美しいのは当然だが、印象的だったのは、サザンカやツバキ等の低木の常緑樹の深い緑の美しさである。多度山に入ると植林されたスギ等が目立つ。間伐されており、管理はされなりにされているようだった。
多度山の中電の大きな鉄柱に到達すると、そこからは舗装された車道が通っている。鉄塔脇に「健脚向けコース」という道標があるところから、愛宕神社の方向に向かう道があり、そちらに降りる。
愛宕神社を経て、多度大社に立ち寄ることにする。ちょうど11月23日は、上げ馬神事が行われており、また、七五三で着物を着た可愛いお子さんを連れた方々で賑わっていた。上げ馬神事は、既に終わっていたが、神事に「出場」した豪華な鞍や飾りをつけた馬が何頭かおり、着物を着た子供を乗せて写真撮影している親子連れの行列が並んでいた。一回1000円らしい。
またまた脱線になるが、七五三という行事も、日本の「八百万津の神々」と関係が深い習俗の一つである。神道ては、子供は、宝物というか「神聖なるもの」とみなされ(適切な言葉がみつからない)、氏族、地域共同体の共通の「財産」と考えられ、子供の成長を氏神様と地域社会が一緒になって喜ぶということに起源がある、逆に、仏教では、悟りといったことを重視するため、子供は未熟なものとしてのみ捉えられる傾向にある。神仏習合のならいとして、最近ではお寺の落慶等に際しても稚児行列が行われるが(私の自宅の地価のお寺でも仁王門落慶の時、稚児行列をやっていた)、もともとは日本古来の習俗的な行事なのである。
石津山、多度山は、仏教伝来後も永らく維持されている日本の祖先崇拝、神道的伝統の根強さを感じさせてくれると言って良いだろう。
多度大社から多度駅に向かう。途中、柿畑で猿が柿を食べているのを発見!人間が見ていても、堂々と食べている。見物しているおばさんが、「へーっ、猿って人様の物も平気で食べるんだ!」と感嘆していたのが、おもしろかった。猿には、所有権という観念はないだろうから仕方がないんじゃないだろうか。

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