日本労働弁護団総会報告
日本労働弁護団総会に行ってきました。
日本労働弁護団の第52回総会が2008年11月14日、15日に北海道登別において開催された。東海労働弁護団からは私を含めて5名が参加した。
総会では、小樽商科大学の本久洋一教授が「企業組織再編に伴う労働法上の諸問題」と言う題で記念講演が行われた。企業再編に伴い労働者の地位の変更がある事件は頻繁にあるが、本久教授の講演は裁判例を集積してそれを理論的に体系付けたものであり、非常にわかりやすく、参考になった。裁判例は、できる限り労働者を救済しようという方向のようである。ただ、使用者側が判例を研究し、それに対応し、新たな紛争が発生するという繰り返しになっているようである。本久教授が指摘したように、判例による理論の集積によって個別の労働者を救済するのには限界があり、企業再編に伴う労働関係について、立法的な解決をしなければならないと言うことが強く感じられた。
2日目には、各報告、弁護団賞の表彰、スタディーグループがあった。私は、スタディーグループでは外国人研修生問題に参加した。外国人研修生問題に取り組むにあたってどのような論点があるのかについて、各地の団員より報告があった。外国人研修生問題に取り組むにあたっては、労働法の知識だけでなく、出入国管理及び難民認定法など多岐にわたる知識が必要であると思われた。スタディーグループで特に印象に残ったのが、外国人研修生が本国で締結する契約書の条項に日本で訴訟を提起したり、行政機関やマスコミに通報するなどの行為を禁止し、これに違反した場合には法外な違約金を支払う条項があることである。実際に日本で使用者との紛争を解決しても、こういった違約金条項によって、本国で裁判にかけられることがある。外国人研修生問題を扱うにあたっては、通常の労働事件とは異なって、特に気にしなければならない問題であると思われた。現在、こういった外国人研修生問題対策が政府、与党で進められていという報告でスタディーグループは締めくくられた。