『ぷらっとほーむ』 権利擁護の人づくり講座 に参加して1
ぷらっとほーむ 人つくり講座報告
第1回 地域包括ケアとは1.2を受けて
2013.1.29 山内益恵
1 第1回の講座では、午前・午後をとおして、平成24年の介護保険法の改正について、改正の経緯や地域包括ケアの現状について学びました。講師は日本福祉大学地域ケア研究推進センター研究員の奥田亜由子氏でした。
2 講義では、まず最初に、75歳以上の高齢者が2050年には4人に一人の割合になることが予想されている、我が国の高齢化の現状などについて説明がありました。これを踏まえ、平成24年の改正は、1.高齢者の自立支援に重点をおく在宅サービス、2.高い介護度の高齢者に対する居宅支援や医療と介護の連携、質の高い介護サービスなどに対して報酬を手厚くし、在宅重視の方向へ制度を誘導しています。とくに高齢者(特に独居)対策として住宅の確保に力を入れているとのことでした。
また医療と介護をセットにしたサービスを居宅の高齢者に提供し、居宅での生活を継続できる社会をつくり、できれば、みとりまで自宅で行うことを目的としているとのことです。なお戦後すぐは8割が自宅で亡くなっており、死に場所として病院と自宅が入れ替わったのは、1975年であって大昔というわけではないそうです。
3 今回導入された「地域包括ケアシステム」は、日常生活圏域(30分でかけつけられる範囲の地域)で、介護・医療・生活支援等をすべて行い、たとえば、24時間対応の在宅医療・在宅介護を実現し、見守り・配食・権利擁護事業などのサービスを導入して、安易に入退院をさせずに自宅において切れ目のない継続的なサービスを提供することを提唱するものです。
ただし人口の少ない田舎でもこれができるのか(すべきなのか)。夜中に何回もヘルパーが見回らなければならないような状態の高齢者が在宅に住み続けることが本当に幸せなのかは検討の余地があると思います。
4 国は「地域包括支援センター」に、社会のニーズの調査から、個別事案のケア会議やマネージメント、人財育成など多彩な仕事を期待しているようです。
一般の人が高齢者のことでわからないことがあったら、とりあえず「包括」に聞けばいいというシステムは便利ですが、「包括」のスタッフは常に情報収集と自己研鑽が必要になるでしょう。
5 国は高齢者対応の賃貸を増やしていく方針ですが、老人ホームと違って、行政の目が行き届かないケースも増えそうです。例えば、配管・おむつの人のみ入居可能として、高齢者に対し非人間的な扱いをして、介護保険制度を使って利益をあげようとする業者も現にあるそうです。
「可能な限り住み慣れた居宅で」という法の趣旨とはほど遠い状況といえるでしょう。
6 また地域包括ケア体制の実効化には、地域ケア会議が重要になりますが、これらはまだ動き出したところです。
今後は、多くの人が介護を自分のこととして関心を持って、制度を育てていく必要があると感じました。
以 上