三菱電機派遣切り裁判の控訴審判決について
1月25日、三菱電機派遣切り裁判の控訴審判決がありました。
弁護団事務局長である当事務所の加藤悠史弁護士のコメントを紹介します。
判決についての詳細な検討はおって報告します。
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控訴審判決では、結論としては3名の当事者のうち、1名は1審判決が維持され、2名については1審で認められた不法行為責任も取り消されました。
3名の結論を分けた点は、契約更新の時期でした。認められた当事者については、「1審被告三菱電機による中途解約は平成20年11月下旬に、労働者派遣個別契約を同年12月1日から更新する旨の契約を締結してから、わずか10日程しか経過していない時期におけるもの」であったことは、あまりにも派遣労働者に対する配慮を欠いているとして三菱電機の責任を認めました。
しかし、契約更新以外の事情は他の2名も何ら変わりません。1審判決が認定したように、三菱電機がもっぱら自社の生産の都合のみで中途解約したことを考慮すれば3名とも不法行為が認められてしかるべきです。控訴審判決は、この点についてリーマンショックの影響でやむを得ないかのように繰り返し免罪しており、不当な判決であるといわざるを得ません。
三菱電機がリーマンショックのもと、他の大手電機会社が赤字決算の時期に黒字決算を維持していたことなどは全く無視されています。
しかしながら、三菱電機の不法行為責任が排除されたわけではありませんし、一般論として「派遣先企業として現実に1審原告らを指揮命令して労働力の提供を受ける1審被告三菱電機にも、(派遣労働者の)雇用の維持又は安定に対する合理的な期待をいたずらに損なうことがないよう一定の配慮をすべきことが信義則上要請されている」ことは、控訴審判決も認めざるを得ませんでした。
派遣先が何をやっても許されるわけではないということを確信に、派遣労働者の権利獲得の運動を今後も続けていく必要があると感じています。