第30回えん罪名張毒ぶどう酒事件全国現地調査
3月24日(土)25日(日) 第30回全国現地調査が開催されました。全国から弁護団・国民救援会・えん罪再審全国連絡会・死刑台から取り戻す全国ネットワーク・守る会、その他支援団体や法学部の学生さん、一般の方々が100名程集まりました。たかが100名ですが、この集まりはされど100名と言うべき集団です。奥西さんを助け出す、裁判所の誤審、不正義を許さないという志を持ち集まっているのです。
愛知からは、24人の参加でした。現地に到着までの間、バスの中で事件の概要を聞きながら向かいました。今回の参加者の中に、以前からこの事件に不信感を募らせていた方々が、興味を持ち、何故えん罪が起こってしまったのかと言う疑念を持ちながら、初めて参加された方々が数名いました。私もその一人です。事件の概要を聞けば聞くほど、裁判所・検察官への不信感は膨らんでいきました。大体の概要を聞き終える頃、名張の事前勉強会の会場へ到着しました。事前勉強会では、弁護団の平松清志弁護士が「奥西さんはすでに86歳、もう一刻の猶予も許されない」と怒りを抑えながらお話される姿は、弁護団の先生方のご苦労や、裁判所に対する気持ちが現れた言葉だと思うと、私たちの気持ちは、共鳴するかの様に奮い立つ思いでした。その後、野嶋真人弁護士の「毒物鑑定の結論」の報告でした。資料と説明は大変解りやすく、事件当時行われたペーパークロマトグラ試験に矛盾がある、毒物はニッカリンTではなく、三共テップが使用されたとすれば矛盾はなくなるとのことでした。事件当時成分分析をした鑑定人は、成分がなにかはわからないが、加水分解により消失したと思われると科学者らしからぬ証言をしている。この主張が否定され、また新しい主張をすることが許されるのか検察官に有罪立証のチャンスを与え続ける事は、再審の基本理念に反すると、力強く報告されました。
翌日、事件のあった葛尾地内へ行き、現地で事件の詳細を聞いて、お酒が届けられた時刻を同じ道を辿りながら、証言と時間的に一致するか自分で感じ取ってきました。また、奥西さんの実家があった場所や今はない公民館跡等にいかせてもらい、奥西さんが公民館で一人になり、ぶどう酒に毒を入れる時間が10分間あったと言う事も、疑わしい事も体で感じ取ってきました。
一般の方達にとって、この事件は裁判所や警察等が奥西さんは犯人だと言ってるし、事件当初はマスコミも犯人だと言っていたから、きっと奥西さんが犯人だよと思っている人達は沢山いると思います。この文章を読んで、現地調査は洗脳する為に行かされているのではないかと思われる方もいるかもしれません。私もそう思っていました。しかし、洗脳されているのは、そう思っているあなたなのです。裁判所やマスコミにその様に思わされているのです。そう思っていた私が言うのですから間違いないのです。現地調査は今年で30回目です。裁判所の再審開始決定が出たら、来年の現地調査はなくなります。一刻も早く再審決定が出て、奥西さんの釈放を求めます。
最後の現地調査でありますように、祈っております
事務局 I