警察によるヤジ排除裁判
2022年06月01日
2019年の参議院選挙で当時の首相による応援演説にヤジを浴びせた市民が、北海道警察の警察官らに排除され付きまとわれたことに対して賠償を求めた裁判で、2022年3月15日、札幌地方裁判所は、警察官らの行為の違法性を認定して、北海道に慰謝料等を市民に支払うよう命じる判決を言い渡しました。判決は、市民によるヤジが公共的・政治的表現であると認め、警察官らの行為が、市民の表現の自由、移動の自由、プライバシー権などの基本的人権を侵害したと断じました。
政治家の演説に対して市民が自由に抗議や疑問を述べることは、民主主義社会において重要な権利行使であり、これを権力で封じ込めることは許されません。今年は夏に参議院選挙を控えています。権力による違憲・違法の行為が繰り返されないよう注視していかなければなりません。
弁護士 中島万里(名古屋北法律事務所)
(「北医療生協・医療と暮らし」へ寄稿した原稿を転機しています)