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森友文書改ざん自死遺族訴訟の終結について

2022年02月18日

 森友学園への国有地売却を巡る財務省決裁文書の改ざん問題で、自死された元近畿財務局職員の赤木俊夫さんのご遺族が、国と当時の理財局長に損害賠償を求めていた裁判で、国は2021年12月15日、約1億700万円の請求を認諾し、突然裁判を終わらせました

 「請求の認諾」とは、民事訴訟のなかで、被告が、原告の請求を認め、これをもって裁判を終わらせることです。被告が請求の認諾をするという以上、裁判所が裁判を続け、証拠調べをすることはできなくなります。裁判所が作成する請求の認諾の調書には確定判決と同様の効力が認められ、原告と被告、その他の裁判所は、調書の内容に拘束され、裁判のやり直しはできなくなります

 ご遺族は「夫が自ら命を絶った原因と経緯を明らかにする」として裁判を起こされ、今後改ざんを指示した上司らの証人尋問を求める予定だったといいます。国は、これまで赤木さんの自死について責任はなかった、として請求棄却を求めており、岸田首相は森友問題については十分な調査を行ったので再調査はしないと明言して首相に就任しました。それにもかかわらず、その舌の根も乾かないうちに、「国に責任がありました。言い値を払います。裁判は終わりなので責任の中味は言いません」と態度を翻し、裁判所における真相究明を封じました。ご遺族が裁判終了後「お金を払って済む問題ではない。こんな形で訴訟が終わって悔しい」と涙ながらに語られたというニュースには憤りを禁じ得ません

 国に対する裁判で請求の認諾がなされることは極めて異例です。国家賠償は税金でなされることから、納税者の納得を得て賠償をするという意味でも、国は、裁判で事実とともに、国にどのような責任があるのか明らかにすべきでした。税金の札びらでご遺族を黙らせるようなやり口を許してはいけないと思います。岸田首相と法務大臣の政治的責任が追及され、訴訟外でご遺族の求める真相究明がなされるべきです。

弁護士 裵明玉(名古屋北法律事務所)
(「年金者きた」へ寄稿した原稿を転機しています)

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