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児童手当と10万円給付の制度的問題

2022年02月04日

 コロナ禍の子育て支援として18歳以下への10万円給付が進められています。この10万円給付は、既存の児童手当制度の仕組みを使って行われています。

 しかし、児童手当は、夫婦のうち所得が高い人に支給されるので、夫婦関係の破綻やDV被害等により夫婦が別居し、所得の低い親が子どもを養育している場合でも、離婚前であれば所得が高い親に手当が支給されてしまうという問題があり、同じ仕組みを使う10万円給付でも同様の問題が生ずることが指摘されています。

 また、10万円給付は2021年10月の児童手当の支給リストを基準とするので、現在は離婚していても元配偶者に支給されてしまうという問題も生じています。児童手当制度の利用は迅速な給付実現のためと説明されていますが、弱い立場にある人が犠牲になっている現実があります。

 なお、児童手当については、先述の問題の対策として、手当受給者と子どもが別居しているときは子どもと同居する保護者を受給者に変更することが可能な場合があります。このような事情がある場合は諦めずに自治体に相談してみましょう。

弁護士 中島万里(名古屋北法律事務所)
(「北医療生協・医療と暮らし」へ寄稿した原稿を転機しています)

 

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