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送りつけ商法、すぐ捨ててOKに

2021年10月01日

 2021年7月6日から、注文していない商品を一方的に送り付けられ、代金を請求される「送り付け商法」について、代金を支払わずにすぐに商品を捨ててもかまわなくなりました。送り付け商法を規制する特定商取引法の改正によるものです。
 そもそも、注文していない商品を受け取っただけでは売買契約は成立しません。しかし、これまでは送りつけられた側が14日間商品の購入を承諾せず、業者も引き取りをしなければ、業者は返還を請求できなくなるという「14日間ルール」があり、被害者が14日間経過前に商品を処分して損害賠償請求を受けるという事態が生じていました。コロナ禍でマスク不足が深刻だった昨年には、質の悪いマスクを送りつけ、高額な請求を行う悪徳業者も登場し、社会問題となりました。また、法律の知識がなく、いわれるままに代金を支払ってしまう被害もありました。
 しかし、今回の改正により、送り付け商法については、業者側はただちに返還請求権を喪失することとされ、被害者は受け取った商品をすぐに捨ててしまっても、自分で使ってしまっても問題ないということになりました。代金引換宅配などで売買契約の成立を偽って商品を送付した場合も同様です。同封された請求書に「不要な場合は送料元払いでお返しください。返送がなければ購入したとみなします」と書かれていても、無視してかまいません。
 とはいえ、不審な宅配便などは受け取らないという用心も必要です。特に代金引換の場合、先に支払ってしまうと、悪徳業者から取り返すのは難しいケースもあります。心当たりのない配達については、いったん受け取りを「保留」にして、不在扱いで持ち帰ってもらうことをお勧めします。後から、家族が注文したものだと分かった場合には、再配達を依頼するようにしましょう。

弁護士 裵明玉(名古屋北法律事務所)
(「年金者きた」へ寄稿した原稿を転機しています)

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