ブラック校則の問題
日本共産党・東京都議会議員団が、都教育委員会に対して情報公開請求したところ、都立高校177校のうち、79校が髪の毛が黒以外の色や、くせ毛の生徒に対して、「地毛証明書」を提出するよう求めていることが判明したそうです。
公開された証明書には、過去に染色や脱色をしたことのない生来の頭髪であることを問うものや、カラースケールで髪の色をはかり、スケール番号が記載されるもの、地毛であることの証明として中学時代や幼少期の写真の提出を求めることもあるそうです。
また、鹿児島県では、下着の色を白などに指定している学校が多いことが県議会で取り上げられ、全ての市立小中学校で下着の色に関する校則が4月から見直されることになりました。
こういったブラック校則は現在も多くの教育現場ではびこっています。
学校において髪の毛や服装に関して規則を定めること自体が全く否定されるわけではありません。例えば、体育では長い髪は結ぶよう指導するなど、安全や健康のために一定のルールを定めることは許されますし、学習内容に応じた服装を着用するように指導することもできます。
ただ、近年では、多様なルーツを持つ子どもが学校に通っています。髪の毛の色に関して、校則で制限を課すのは、生まれつきの容姿の否定につながり、ひいては子どもの自身の存在自体の否定につながりかねません。
また、服装についても外部に見えない下着について白色のものを着用しなければ教育目的が達成できないとは考えられませんし、校則違反かを確認すること自体が重大な人権侵害となりかねません。
こういったブラック校則の見直しが進んでいるのは、おかしいと言う人がそれだけ増えてきたからだと言えます。
規則がどうして必要なのか、規則を決めないといけないのか、ということは大人になった際に自分たちの社会のルールを決めていくうえで役に立つものだと言えます。
そのうえで、校則や指導の在り方については「なぜ、この校則があり、守らなければいけないのか」をきちんと生徒と学校が話し合える場所が増えることは、この社会の将来を担う人間を育てるという観点からも必要なことだと思います。
弁護士 白川秀之(名古屋北法律事務所)
(「年金者きた」へ寄稿した原稿を転機しています)