ウーバーイーツの配達員は労働者?
Uber Eats(ウーバーイーツ)、注文したことはありますか?
日本でのサービス開始は2016年。当時150店だった提携レストラン数は、いま3万店を超えているそうです。名古屋でも配達員が黒いカバンを背に自転車で走る姿をよく見るようになりました。
ネットで気軽に多彩な商品を注文できて便利なのですが、レストランごとに異なる配送手数料とサービス料などが商品価格に加算されますから、注文するときは合計金額に要注意です。
また、配達員の労働条件も課題です。ウーバーでは、配達員等を「独立事業者」と扱い、事故やケガの補償も有給休暇も最低賃金のしばりもなく、社会保障や医療保険の会社負担もありません。インターネットを通じて単発の仕事を受注する働き方を「ギグエコノミー(Gig Economy)」といいますが、このような不安定で個人負担の大きいギグ・ワーカーが増えれば、社会の貧困化が進むでしょう。
これを危惧し、米カリフォルニア州では、2019年9月に、配達員等を「従業員」として扱うよう義務付ける「AB5」と呼ばれる労働法の改正が行われました。そしてこの法律に基づき、今年の8月11日、裁判所はウーバー等2社に、食品配達員や配車サービス運転手等を「従業員」として扱うことを求める仮命令を出しました。2社は命令を不服として上訴しつつ、この命令が効力を生じる場合にはサービスの一時停止に踏み切る考えを表明しています(現在は、控訴裁判所による仮命令の猶予期間中)。サービスを停止されれば、配達員にも市民生活にも大きな打撃です。
日本でも働き方の改善を求めて、配達員の労働組合が結成されています。ギグ・ワーカーの働き方改革にもご注目ください。
弁護士 山内益恵(名古屋北法律事務所)
(2020年9月「名古屋北部民商ニュース」へ寄稿した原稿を転機しています)