熟慮期間経過後の相続放棄が認められた事件
2020年02月12日
●熟慮期間経過後の相続放棄が認められた事件
Aさんは、ある日、長らく疎遠だった親戚が数年前に莫大な借金を遺して亡くなっていた、と知らせを受けました。配偶者や子どもなど、近しい親族が次々に相続放棄をした結果、相続人の地位が遠く離れたAさんのところまで回ってきたのです。
突然、多額の負債が降りかかってきたことにAさんは仰天しました。もともと心身の状態が悪かったのがさらに悪化してしまい、飲んでいた薬の副作用で頭がぼーっとしていたこともあって、知らせを受けてから3か月以内に裁判所に対して相続放棄の申述書は提出したものの、書類に不備がありました。
裁判所から補正を促す連絡が何度も届いたのですが、Aさんは書類の内容を理解できる状況になく、生活にも困窮していて電話も止められ、どうしたらよいかわからずにいたところ、相続放棄の申述を却下するとの審判が出されてしまいました。
そうした状況でAさんが当事務所に相談に来られたので、法テラスを利用して受任しました。
相続放棄申述の却下審判に対する即時抗告をするとともに、家庭裁判所に対して改めて相続放棄の申述を行いました。この時点では、親戚の死亡を知った日から3か月は過ぎていましたが、3か月以内に補正できなかった事情を詳細に説明して、無事に相続放棄の申述が受理されました。即時抗告は取下げをしました。
Aさんが平穏な生活を取り戻せて、本当によかったです。突然、債務を相続したと言われれば誰でも混乱すると思います。お気軽に名古屋北法律事務所にご相談ください。
2020年2月12日 弁護士矢崎暁子