普通解雇をされた労働者が解決金を得て和解した事案
2019年11月29日
事件の概要
この事件は、リース物品の営業等を行っている会社に中途採用された労働者が、上司からの頻繁な業務時間外の業務連絡や、指導と称して乱暴な言葉を使用される等のパワハラを受け、試用期間が労働者の同意なく延長された上で、業務能力や営業先からのクレーム等を理由にして普通解雇がされた事案です。労働審判ではなく、民事裁判によって、パワハラについての不法行為に基づく損害賠償と、解雇の無効、賃金の支払いを求めました。
解決金による解決
労働者は、勤務時間外も自主的にマニュアルを読み込むなど真面目に業務に取り組んできましたが、業務時間外にされる上司からの高圧的な指導に疑問を感じて別の上司へ報告したところ、その後に予定されていた研修や教育指導がいっさい行われなくなりました。さらに、不慣れな営業先へ一人で出向かされ、その際に生じたクレーム等を理由に会社から一方的に、試用期間の延長、自主退職の勧奨、普通解雇がされました。労働者としては会社からの扱いに納得ができず、法的な手続きによる解決を求めました。
裁判の中では、上司の行為がパワハラに該当するのかという点、また、会社が行った普通解雇について、そもそも解雇理由の事実の存否、解雇の客観的合理的な理由、社会通念上の相当性が争点となりました。
労働者の手持ちの資料をもとに、粘り強く主張を行った結果、労働者が裁判中に次の転職先が決まったこともあり、最終的には、会社都合による退職と多額の解決金の支払いで事件を終結させることで会社と合意し、勝訴的和解によって事件は解決しました。
2019年11月29日 弁護士 村上光平