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【労働事件解決報告】

2019年01月08日

過労自殺について労災と認定され、会社との間でも賠償金につき和解解決をした事例

1 事案の概要

 Aさん(40代)は、国内外の引っ越しを行う会社に勤め、同社の業務を広く担っていました。業務内容も広範にわたっており、また、時差のある外国在住の顧客も相手にすることから、労働時間が非常に長くなりがちであったことが伺えます。Aさんはある日、自宅で首を吊って自殺してしまったという事案です。

2 長時間労働の存在 -労基署による労災認定―

   会社のタイムカードやパソコンからのメールの送信記録、自宅と会社の移動を示すETCの使用履歴などが存在していました。タイムカードに記載される労働時間だけでも被災1カ月前で約160時間もの時間外労働があり、それよりも前の月でも月に100時間以上の時間外労働が継続していました。タイムカードに打刻された労働時間以外の時間にも業務日報を送信していたり、休日とされている日に自宅と会社を往復するETC履歴などもあり、仮にこれも最大限に考慮すると月に200時間の時間外労働になるほどでした。担当弁護士は、会社から開示を受けた資料やAさんのパソコンをもとにAさんの勤務実態に関する報告書を作成し、管轄労基署に対して労災申請を行い、労基署に赴き事案の説明も行いました。労基署も調査の結果、タイムカードの打刻以上の労働時間を認定し、自殺との間の業務起因性を認め、労災支給決定をしました。

3 裁判での解決

 労災申請とともに、会社に対しては、時間外労働についての残業代の請求と、安全配慮義務に基づく損害賠償を求めました。会社との間では勝訴的な内容で示談解決をすることができました。

    弁護士 新 山 直 行

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