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相続法改正③

2018年12月25日

                     

 今年7月、約40年ぶりに相続法が改正されました。3回目の今回は、新設された預貯金の仮払い制度についてご説明します。

 2016年の最高裁判決により、複数の相続人が預貯金を共同相続した場合、相続人らによる遺産分割協議(遺産をどのように分けるかの話し合い)を経ないと、金融機関からの払い戻しが受けられなくなりました。そのため相続人全員の合意がないと、病院代の支払いや葬儀費用のための緊急の払い戻しもできなくなり、問題となっていました。

 そこで、改正法は、遺産分割前の払い戻しを一定の範囲で認める新制度を創設しました。①家庭裁判所の保全処分を利用する方法、②相続人単独での払戻しを認める方法があります。

 ①については、遺産分割の調停または審判とともに申立てることが条件で、仮払いの金額は必要性に応じて裁判所が定めます。

 ②の方が早く簡単ですが、払戻し金額に上限(=相続開始時点の口座ごとの預貯金額の1/3×仮払いを求める相続人の法定相続分、かつ法務省令で定める額(現時点では未定)まで)があります。600万年の預金を残して父親が死亡し、相続人が長男と二男の2人だった場合、長男は600万円×1/3×1/2(長男の法定相続分)=100万円の払い戻しを受けることができます。100万円を超える金額が必要な場合は、①の方法を採ることになります。

 この新制度は、2019年7月12日までにスタートすることになっています。

 

弁護士 裵 明玉 (名古屋北法律事務所)

(「名古屋北部民商ニュース」へ寄稿した原稿を転載しています)

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