相続法改正①
2018年11月12日
2018年7月6日、約40年ぶりに相続に関する民法などの改正法が成立しました。今回は、是非押さえて頂きたい改正の内容のうち、自筆証書遺言に関するものを解説します。
従来、自筆証書遺言(=手書きの遺言)については、全文を遺言者が自分で書く必要がありました。遺言書を作成する時点でお体が不自由な方も多いことから、特に財産の数が多い場合、全文の手書きは大きな負担でした。そこで、今回の改正では、財産目録を別紙として添付する場合に限り、パソコンで作成した財産目録や、登記事項証明書、銀行預金通帳のコピーを添付することが許されることになりました。ただし、別紙の全ページに署名・押印をする必要があり、これによって偽造が防止されることになります。この見直しは、2019年1月13日から施行されます。
また、今まで自筆証書遺言は公的機関に保管する制度がなく、紛失や偽造のおそれがありました。そこで、改正法では、自筆証書遺言を法務局に保管する制度が新設されました。遺言者本人が法務局に原本を持参して申請しなければならず、本人確認の上、遺言書の形式審査を受けて、保管がなされるので、後日の紛争を避ける効果が期待できます。相続の開始後、相続人は法務局で遺言書の内容を確認することができ、他の相続人にも遺言書の存在が通知される仕組みです。この見直しは、2020年7月12日までに施行される予定です。
弁護士 裵 明玉 (名古屋北法律事務所)
(「名古屋北部民商ニュース」へ寄稿した原稿を転載しています)