カジノ問題
(2018年7月「新婦人北支部・機関誌」へ寄稿した原稿を転機しています)
現在、国会で、カジノを中心に会議場、ホテル、ショッピングモールなどを含めた複合リゾート施設に関する法案が審理されています。すでに昨年の国会で「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(IR推進法案)が成立しており、現在は整備法案が審議をされています。
カジノを解禁すべき?
この法案は「複合観光施設」と銘打っていますが、一番の目的は、カジノ解禁を目的にするものです。日本では今日、賭博は刑法で禁止されておりますが、「公営」を条件として競馬・競輪・競艇・オートレースが認められていますし、実質的にはギャンブルと異ならないパチンコ・スロットが全国各地にあります。
この法案が成立すると、これら以外に民間業者が、ラスベガスにあるようなカジノを日本で作ることができるようになります。では、日本ではカジノを解禁すべきでしょうか?
日本はギャンブル大国!
先にも述べたように、日本には既に公営ギャンブルやパチンコなどがありますが、国内でギャンブル依存症の疑いがある人は536万人に上ると発表されています(平成26年8月厚生労働省研究班)。日本はすでに“ギャンブル大国”と言って差し支えないと思いますが、カジノが解禁されるとこの流れがさらに加速しかねません。依存症対策で週3回、月10回という入場回数規制を設けようとしていますが、月10回も利用すれば十分に依存症といえるでしょう。
また、カジノで事業者がお金を貸すことが許されていますので、カジノで負けている人が挽回をするために大金を借りるということが懸念されます。
観光客が多くなる?
推進派の説明では、カジノを推進することで観光客が増えるとして、シンガポールでも2010年に大規模なカジノを開設して、観光客が増えたと言われています。ただ、シンガポールが124%観光客が増加をしつつ、日本では同じ期間で386%増加しています。カジノがなくても観光客は増加しています。そのため、カジノ依存症が増えるという危険を冒してまでカジノを解禁する必要はあるのでしょうか。
外資が参入する危険?
カジノが解禁された場合、カジノの運営を行うために外国資本が積極的に参入する危険があります。運営主体は日本法人でなければなりませんが、外国資本が出資をしていても問題がありません。運営のノウハウは外国法人の方が有していますので、外国資本が参入をして、カジノ収益が日本のために使われないという可能性があります。
カジノ導入は
このように、非常に多くの問題点が指摘されていながら、政府はカジノを推進しようとしています。日本には豊かな観光資源があります。無理にカジノを作ってまで外国人観光客を呼び込む必要は低いといえるでしょう。カジノを作ることには反対をするべきと思います。
弁護士 白川秀之 (名古屋北法律事務所)