労働者の健康について
2018年06月15日
新年度が始まりましたね。4月から新しい従業員を迎えた企業も多いことでしょう。
今回は、健康診断についてご案内します。健康診断は、実は、すべての事業者に対して課せられている義務です。労働安全衛生法第66条1項には、「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行わなければならない」と定められています。厚生労働省令によると、具体的には、(1)雇入れ時の健康診断と(2)1年以内ごとに1回の定期健康診断が義務づけられています。これらは、違反すると刑罰が科されるという重い義務です。
その理由は、労働者の疾病を早期に発見し、これに対処していくために、健康診断が必要不可欠だと考えられているからです。労働者は人間ですから、壊れたら交換、というわけにはいきません。労働者の健康が悪化していけば業務に支障をきたしますから、定期的に労働者の健康を管理することは、会社にとっての利益にもつながります。
健康診断で健康上の問題点がみつかったときには、医師の意見を参考にして、就業場所の変更や作業の転換、労働時間の短縮などの措置を講じなければならないとされています(労働安全衛生法66条の5)。場合によっては、休業をさせて対応する方がよいケースもありえます。
経営者も労働者も、日頃から健康に気をつけて、長く元気に働ける環境を作っていきましょう。
弁護士 矢 﨑 暁 子 (名古屋北法律事務所)
(2018年4月「名古屋北部民商ニュース」へ寄稿した原稿を転載しています)