改正「介護休業法」施行、改正法のポイントは?
2017年05月22日
改正育児介護休業法が2017年1月に施行され、介護休業が取りやすくなりました。改正のポイントを紹介します。
- 介護休業を取得できる労働者の拡大
パートなどの有期労働契約者の介護休業取得が認められやすくなりました。①介護休業を申し出る時点で1年以上雇用されている労働者で、②介護休業開始予定日から数えて93日目から6か月(従来は1年)の間に労働契約の期間が終わることが明らかでない場合に介護休業の取得が認められるようになります。 - 介護対象家族の拡大
従来の配偶者、父母、子、配偶者の父母に加えて、同居・扶養していない祖父母と兄弟姉妹に孫も、介護休業の対象に含まれることになりました。また、介護休業は、2週間以上の期間常時介護を必要とする状態の場合に取得できますが、この判断基準が整理されました。かならずしも要介護認定を受けている必要があるわけではないことに注意が必要です。 - 介護休業取得の柔軟化
介護休業は、これまでは原則1回、93日間まででしたが、改正により、対象家族1名につき通算93日まで、3回を上限として、分割して取得できるようになりました。また、介護のための短時間勤務・時差出勤などについて、利用開始から3年の間2回以上利用できるようになりました。ほかにも、介護休業とは別に、対象家族1人につき年5日間取得できる介護休暇が、半日単位で取得できるようになり、所定時間外労働の免除制度も新設され、介護終了までの期間権利として請求できるようになりました。 - 休業中の経済補償強化
介護休業中の給付率が、賃金の40%相当額から67%相当額に引き上げられ、休業中の経済的補償が厚くなりました。 - 嫌がらせ防止措置の義務付け
妊娠・出産・育児休業・介護休業などを理由とする、上司・同僚によるマタハラなど就業環境を害する行為を防止するため、必要な措置をとることが事業主に義務付けられました。
高齢化が急激に進む中、介護で仕事を辞めなくてすむ社会を作ることは急務です。今後はさらに、在宅勤務を柔軟に認めるなど、介護と仕事を両立できる制度の整備が待たれます。
弁護士 裵明玉
(「新婦人きた」へ寄稿)
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