昨今の弁護士事情(3)司法制度改革後の動向
前回までのお話で弁護士人口が増えている話をしました。その端緒となったが司法制度改革です。2001年の司法制度改革審議会の答申に基づき、2002年以降、日本の司法制度の抜本的改革が行われました。その柱は、法曹人口の拡大と法科大学院制度の導入生活困難な方々への弁護士費用立替制度の拡充と法テラスの開設等による市民の司法へのアクセスの拡充、裁判員制度の導入等です。そのもとで法曹人口の拡大が進み司法制度改革が 実施に移され た2002年から今日までの間に弁護士人口はほぼ倍増しています。いわゆる弁護士過疎と呼ばれ、裁判所(支部)管内に弁護士がゼロか1名しかおらず容易に法律相談もできないとされた「ゼロワン地域」は解消され、地方都市への法律事務所開設も増大。女性弁護士も3倍となりました。以前は国選弁護人は起訴後の被告人にのみ認められており、捜査段階での自白の強要等をチェックすることが十分できない状態でしたが、弁護士人口の拡大を土台として、被疑者段階で国選弁護人が選任されるようになりました。弁護士人口の増大は、国民の司法アクセスを広げ、国民の権利擁護の上で積極的な役割を果たしましたが、余りに急激に増やしたため、裁判所に出される民事事件、家事事件等は伸び悩む中で、弁護士一人あたりの訴訟事件数が減少し、弁護士の質の低下を懸念する意見も出されています。弁護士の質を確保しつつ着実に弁護士人口を拡大していくことが必要であり、日弁連は一時は2000名を超えた司法試験合格者を1500名程度レベルに抑制することが必要であると主張してきました。
2016年の司法試験合格者は1583名、前年より267名減りました。
次回は、法科大学院の現状について報告します。
*この連載では、日本の弁護士の昨今の現状を私見を交えながら私が紹介していきます。
(「 ホウネットメールマガジン」より転載)
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