知って得する法律情報

昨今の成年後見制度の現場から⑦ 後見業務の終了

2016年12月05日

 成年後見人の仕事が終わるのは、辞任または解任死亡の場合があります。

 一度成年後見人に選任されると、辞任するには家庭裁判所の許可が必要です。健康上の理由、遠隔地転勤等によって後見事務を遂行できないと認められる正当な理由が必要です。

 辞任する場合には、「後見人辞任の許可の申立書」を家裁に提出します。同時に、後任の「後見人選任の申立」も行わなければなりません。辞任が許可されただけでは後見人の仕事は終了せず、後任の後見人に引き継ぎをして終了となります。

 本人(被後見人)が死亡した時には、その時点で後見が終了となります。その場合には、速やかに家裁に連絡した上で、本人の除籍謄本又は死亡診断書のコピーを提出してください。

 財産は、法定相続人に引き渡すことになります。本人の病院代、葬儀代等の未払の債務が残っている場合には、原則として相続人から支払ってもらってください。後見人が本人の債務を弁済する権限は死亡により消滅しています。ただ、手持ち現金がある場合には、入院していた病院の治療費等は後見人が立て替えて支払ってしまう場合が多いと思います。法律を杓子定規とせず、柔軟な対応が必要です。これらの事務が終了したら、家裁に後見事務終了の報告書を提出します。また、東京法務局後見登録課に後見終了登記の申請を行います。

(「年金者しんぶん」へ寄稿)

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