昨今の成年後見制度の現場から⑤ 後見人の禁止事項
前回まで後見人に就任をした場合には、具体的にどのようなことをするのかというお話ししました
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今回は、後見人としてのやってはいけないことをお話します。
まず、後見人は、財産管理を適切に行わなければならないので、本人の財産を必要もないのに減らしてしまう行為は禁止されます。よく問題になるのが、介護施設・病院等への贈与、寄付ですが、施設利用料とは別に任意に支払うものですので、禁止されます。
親族への贈与も問題になります。よく、 相続税対策として110万円ずつ毎年親族に贈与をすることがありますが、成年後見ではそのような贈与は許されません。お年玉や冠婚葬祭時の支出については、社会通念で判断をしますが、過去に同様の場合にいくら払ったなども考慮して決めることになります。
後見人として悩ましいのは、本人の親族に対して、扶養として本人の財産を支出する場合です。民法では親族間の扶養義務が定められていますので、扶 養料を支払うことが一切否定されるわけではありません。ただ、どの程度の金額が妥当かは厳格に判断するべきで、本人の財産状況、扶養を必要とする人の収入などを総合的に判断する必要があります。
この他にも、本人の財産が減少していなくても、減少させる危険がある行為、例えば、保証人契約や投資、投機的行為も禁止されています。
以上述べたように、後見人の禁止事項は様々です。もし、後見人の業務をしていて悩まれた場合には、家庭裁判所や後見監督人に相談をするなどをし、自分だけで判断をしないことが大切です。
(「年金者しんぶん」へ寄稿)
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