昨今の成年後見制度の現場から②―後見人選任事案の特徴
2016年01月20日
前回は、認知症の高齢者や知的障害者の方を含む後見人制度の対象者のうち実際に利用しているのはその2%に過ぎない実態を紹介しました。
それでは申立られた事案にはどういう特徴があるでしょうか。最高裁の平成26年度の調査に拠れば、申立件数34000件(概数。以下、同じ)のうち後見申立は27500件、保佐申立が4800件、補助申立は1300件です。本人(後見人のサポートを受ける利用者)は、男性が4割、女性が6割。女性のうち80歳以上が63%。長生きのおばあちゃんに後見人が選任される例が多いことを示しています。
後見人を選ぶ手続は、申立から2ヶ月以内に審判が出されたのが77%。本人の判断能力の有無、レベルを調べるために鑑定を行ったのは10%。殆どは主治医の診断書だけで判断能力を審査しています。鑑定費用は、5万円以下が63%。裁判所に納付する手数料800円、登記手数料2600円、書類送達費用3200円ですから、鑑定費用を合わせても6万円以内で申立が可能であることがわかります。
次回は、申立にはどんな書類が必要なのかをお話しします。
弁護士 長谷川一裕
(「年金者しんぶん」へ寄稿)
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