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昨今の成年後見の現場から①―進まない利用状況

2015年12月22日

 認知症高齢者が増加するにつれて、その権利擁護のための成年後見制度の重要性が高まっています。後見制度の対象となる認知症高齢者は約500万人と推定され、2025年には800万人になると推定されています。知的障害・精神障害のある方は394万人と推定されています。

 最高裁判所の調査によれば、平成26年12月末現在で成年後見制度を利用している方は18万4670人。その利用率は2%に過ぎません。但し、前年度比4.6%増となっており、増加傾向にあることは確かです。
この調査では、後見制度利用の動機は、預貯金の管理・解約が28.4%、介護保険契約(施設入所等のため)が12.2%、不動産処分が6.4%です。預金を引き出そうとした時に金融機関から勧められたり、介護サービスを受ける際に居宅介護支援事業所等で進められることが増えていることを伺わせます。

 申立人と本人の関係を見ると、「子」が32.1%、市町村長が16.4%、兄弟姉妹が13.5%。前年比で見ると、市町村長申立が10.8%増であることが注目されます。身寄りの無い高齢者、貧困のため生活保護を利用する高齢者世帯が増えていることが反映しています。名古屋家裁管内でいえば、平成26年の1573件の申立件数のうち市町村長申立は233件となっています。

弁護士 長谷川一裕

(「年金者しんぶん」へ寄稿)

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