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マイホームを建てた土地から立退きを求められたら

2015年11月18日

 親の代からマイホームを建てて住んでいる土地なのに、長年の付き合いの地主が亡くなり、子どもたちの代になって急に立ち退きを迫られた、こうした相談は少なくありません。中には、借地の管理に困った子どもたちが業者に土地を売ってしまったというケースもあります。こんなとき、地主に対して、借主はどんなことが言えるでしょうか?

 まず、自宅を建てるために土地を借りた借主の権利は、「借地借家法」という法律で守られています。ですから、一旦借地契約が締結されると、地主の一方的な解約の申し入れでは、解約することはできません。たとえ、契約書で決められている賃借期間の満了に合わせた申し入れであっても同じです。

 借地契約を終えるためには、地主に「正当の事由」がなければなりません。「正当の事由」とは、地主が土地を必要とする事情や、借主の土地の利用状況、地主が借主に提示した立ち退き料の金額などを総合的に考慮して判断されます。「正当の事由」がない場合には契約は終了しませんので、言われるまま出て行く必要はなく、借地に住み続けることができます。

 ところで、借地を返す場合には、建物を取り壊して元の状態(更地)戻してから返すのが原則です。しかし、借地借家法は、借地の借主は、契約期間が終わり、契約を更新しないで土地を返すことになった場合に、借地上の建物を時価で地主に買い取るように請求する権利(建物買取り請求権)があると定めています。したがって、更地に戻す義務は問題にならないことも多いです。ただし、この「建物買取り請求権」は、地主と借主が借地契約を合意解約した場合には、行使できないとした裁判例があります。裁判所は、合意解約の場合に建物買取り請求を行おうとするならば、地主との話し合いで、建物買取り請求を行うことを合意しておかなければならないと言っているのです。ですから、借地契約の解約の申し入れを受けた場合には、安易に合意解約には応じないように気をつける必要があります。

弁護士 裵明玉

(「年金者しんぶん」へ寄稿)

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