自転車事故への備えをしましょう!!
★自転車事故の発生状況
私が扱っている交通事故案件の中でも、当事者のどちらか、あるいは両方が自転車に乗っていたという案件は一定数あります。
統計によっても、ここ数年、交通事故件数に占める自転車事故件数の割合は、2割程度の高い水準で推移しています。
特に注目すべきは、自転車事故による死傷者は、未成年者(31.5%)と高齢者(18.8%)で過半数を占めているという点です。
★自転車による加害例
自転車は、道路交通法では「軽車両」に分類されています。ともすれば歩行者に近い立場と誤解されがちですが、自動車と同じように「加害者」にもなり得る危険な乗り物なのです。
被害の大きさによっては、以下のように数千万円の賠償義務を負うこととなる場合もあります。
【ケース1】
男子小学生が、夜間の帰宅途中に自転車で走行中、歩道と車道の区別のない道路において歩行中の女性(62歳)と正面衝突。女性は頭蓋骨骨折等の傷害を負い、意識が戻らない状態になりました。
→賠償額 9521万円 (神戸地裁平成25年7月4日判決)
【ケース2】
男性が夕方、ペットボトルを片手に下り坂をスピードを落とさず走行し交差点に進入。横断歩道を横断中の女性(38歳)と衝突し、女性は脳挫傷等により3日後に死亡しました。
→賠償額 6779万円 (東京地裁平成15年9月30日判決)
★保険の重要性
自転車事故が自動車の場合と違うのは、被害者保護のための強制保険(自賠責保険)がないことです。そのため、自転車による加害事故に備えるためには、「個人賠償責任保険」などへの加入しておくことが重要です。また、自らが被害者になった時に、相手方から十分な賠償が受けられない場合に備えるのが、「傷害保険」です。自転車事故のリスクに備えるため、これらの保険にはぜひ加入しておくべきでしょう。
★安全運転を心がけましょう
自転車が加害事故を起こす要因のトップ3は、急な進路変更などの安全不確認(50.9%)、一時不停止(19.8%)、信号無視(8.7%)です。交通ルールを守らなければ、事故に遭うだけでなく、事故を引き起こす可能性が高くなります。被害者にも加害者にもならないようにするために、自転車の運転の際には細心の注意を払いましょう。
2015年10月1日 弁護士 鈴木哲郎