「遺言」(4)将来を見越した遺言に
遺言の講座は、今回で最終回です。
遺言 (1)~(3)の記事はコチラ
http://www.kita-houritsu.com/legal/devolution/
(相続・遺言の業務案内の末尾)
今回は、遺言をより良いものにするために、将来を見越した書き方を伝授させていただきます。
たとえば、亡くなる10年前に遺言を書いていたという場合、亡くなるまでの間に、財産が増減することがあります。預貯金などはその典型でしょう。
「○○銀行の預金は長男に、××銀行の預金は次男に相続させる」などと書いても、現在と10年後で残高に大きな違いがあれば、遺言を書いた時の意思が実現できないかもしれません。
そこで、このような増減が心配されるものについては、「特定せずに」書くことをおすすめします。たとえば、「預貯金全体の6割を長男、4割を次男に相続させる」と書けば、その後増減があったとしても、全体についてどのような割合で相続させるかという意思は変わらず実現できます。
また、「配偶者に相続させる」と書いたとしても、自分より先に配偶者が亡くなってしまうというケースがあり得ます。
このようなことが起きると、配偶者に相続させるはずだった財産は、原則として他の相続人が話し合って分けなければなりません。それではせっかく遺言を書いた意味も失われてしまいます。
そのような事態を防ぐために、「配偶者が自分より先に亡くなった場合は、長男に相続させる」などと、代わりに誰に財産を渡すのか、あらかじめ決めておくと良いでしょう。
遺言は、このように将来を見越した書き方をすることで、ぐっと良いものになります。
弁護士 鈴木哲郎
(「商工新聞」 名古屋北部民商へ寄稿)