「遺言」(1)
今回からは遺言についてお話しします。私の目標は、このシリーズにお付き合いいただいた皆さんに、実際に遺言を書いていただくことです。
「遺言」は一般的には「ゆいごん」と読まれますが、法律上は「いごん」と読むのが正解です。遺言というものがあるということは皆さんご存じでしょうが、これは何のために書くのでしょうか。
一番の目的は、残された家族が頭を悩ませたり、時には争いになってしまうことを防ぐためです。
人が亡くなると「相続」というものが発生しますが、誰が相続人となるか、それぞれの取り分(相続分)がどれだけか、といったことは「民法」という法律にちゃんと書いてあります。
しかし、亡くなられた方がどのような財産を持っているかということは千差万別です。そのため、取り分だけが決められていたとしても、実際に誰が何を受け取ったらいいのかという問題は残されてしまいます。
また、法律で決められた取り分というのは、それぞれの事情に応じて柔軟に変えることが出来ません。たとえば、ずっと親を介護していた人と、長年音信不通だった人でも、兄弟であれば取り分は法律上同じです。
法律だけではこのような限界があるため、それぞれの事情、それぞれの家族に合った相続を実現するために、遺言というものを書く意味があるのです。
しかし、遺言の内容がいい加減であっては、争いを防ぐどころか、さらに別の争いを生むことにもなりかねません。そのようなことがないように、ぜひこの「紙上講座」を利用して、皆さん遺言について学んでみてください。具体的な話はまた次回に。
弁護士 鈴木哲郎
(「商工新聞」 名古屋北部民商へ寄稿)
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