家庭の法律・親子の巻(3)「子の扶養義務」
2014年12月22日
親子をめぐる問題の第3回です。
民法では、扶養義務を負うとされているのは、①配偶者のほか、②直系血族(親子や祖父母、孫など)と、③兄弟姉妹とされています(民法877条)。
この扶養義務がよく問題になるのは、親の介護が必要になり、その面倒を子どもたちのうち誰が見るか、という場面です。
先ほどの民法によれば、子どもはみな親と直系血族(②)の関係にありますから、扶養義務者に含まれることになります。世間では、「長男が親の面倒を見るべき」という考えをお持ちの方も多いかもしれませんが、法律上は、長男だからといって特別な義務が課されているわけではありません。
しかし、一人の扶養を必要とする人について、数人の扶養義務者がいる場合に、いったい誰が扶養すべきか(扶養の順位)というのは難しい問題です。
扶養の順位は、まず当事者の話し合いによって決めることになります。これですんなりと決まれば良いのですが、決められない場合には、家庭裁判所で調停を行い、それでも決まらなければ、裁判所が審判で決定します(民法878条)。
扶養の順位が決まっても、子どもたちは平等に親を扶養すべき義務があることは変わりません。他の兄弟が何もしてくれないため、一人の子どもがもっぱら親の面倒を見てきたような場合には、この子どもは、他の兄弟に対し、各人の経済力に応じた負担を求めることができるでしょう。
弁護士 鈴木哲郎
(「商工新聞」 名古屋北部民商へ寄稿)