家庭の法律・親子の巻(2)相続税対策と養子
2014年11月18日
親子をめぐる問題の第2回です。
今回は、「相続税対策と養子」についてお話しします。
民法上、養子縁組の数に制限はなく、縁組をすれば、養子はみな実子と対等な立場で相続人となります。しかし、相続税の計算上は、養子の数に制限が課されています。
というのも、相続税は、相続人が多いほど基礎控除額が増加する仕組みになっているため、従来から節税のため多くの養子縁組をして相続人を増やす例がかなりありました。
そこで相続税法が改正され、1989年から基礎控除の計算に加える養子の人数に制限が設けられたのです。
この制限により、原則、実子がいる場合には養子は1人、実子がいない場合には2人までしか、基礎控除の計算に加えることができなくなりました。
例外として、実父母と縁を切る「特別養子」や、配偶者の連れ子(配偶者の実子)を養子としたような場合は、養子であっても実子とみなして基礎控除を計算し、人数に制限もありません。
したがって、「自分の実子が1人で、配偶者の実子(連れ子)2人を養子とし、そのほかに特別養子が2人、普通の養子が2人」という例では、相続人は単純に配偶者と子ども7人の計8人となりますが、相続税の基礎控除額を計算する上では、配偶者と実子5人、養子1人の計7人として計算されます。
ちなみに、相続税の基礎控除は昨年の税制改正により縮小され、従来は「5000万円+(1000万円×法定相続人の数)」であったのが、2015年1月1日以降の相続から、「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」となりますのでご注意ください。
弁護士 鈴木哲郎
(「商工新聞」 名古屋北部民商へ寄稿)