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離婚時年金分割と分割割合について

2014年11月05日

 近年の熟年離婚の増加に、平成19年にはじまった離婚時年金分割制度も社会に浸透してきた感があります。

 離婚時年金分割制度は、結婚期間中の配偶者の保険料は夫婦が共同して納めたものと見て、その一部を離婚後の他方配偶者の給付対象とするものです。専業主婦が離婚した場合の年金額の低さが、「妻の貢献が反映されていない」と問題視される中で登場しました。離婚から2年の間は分割をすることができます。

 「年金分割」とはいっても、夫の年金額の半額が妻のものになる、という話ではありません。老齢厚生年金の額は、厚生年金加入中の標準報酬月額に基づいて計算されます。分割されるのは、この計算の根拠になる「標準報酬」です。たとえば、婚姻期間中の夫の標準報酬が1億円で、妻がゼロ(全期間専業主婦)の場合、年金分割制度がなければ、妻の老齢厚生年金はゼロとなってしまいます。これが、分割割合を50%として年金分割を行うと、夫も妻も標準報酬は5000万円となり、妻はこれに基づいて計算された老齢厚生年金を受給することができるのです。

 年金分割の方法には、夫婦の合意で分割割合を決める「合意分割」と、平成20年4月1日以降の第3号被保険者期間について、自動的に標準報酬月額が分割される「3号分割」があります。

 合意できない場合には、家庭裁判所の調停、審判で分割割合を決めることになります。この際、家庭裁判所では、原則的に、分割割合を5割としていますが、最近、異なる分割割合を認める審判も出てきました。妻の私学共済年金について、夫が分割を求めたケースで、夫の多額の負債のために妻がやり繰りに苦労したことなどを認定して、分割割合を0.3としたものです。年金分割の割合は、離婚後の生活を左右する重要なもの。今後、分割割合についての争いも増えるかもしれません。

(2014/7/23 弁護士 裵明玉(ぺみょんおく))

(「年金者しんぶん」へ寄稿)

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