【新南陽工場住民訴訟】最高裁で住民側勝訴判決確定
住民の力でゼネコンに12億4700万円を払わせる!
最高裁判所第三小法廷は、2004年9月21日、「新南陽工場住民訴訟」について被告ゼネコン等の上告を棄却し、上告を受理しないとの決定を行いました。これにより、被告鹿島建設株式会社らゼネコン各社、名古屋市建築局幹部、市議会議員らに対して名古屋市が談合により被った損害の賠償を命じた原判決が確定し、被告鹿島建設は、10月22日同確定判決に基づき、名古屋市に対して損害賠償金9億円及び平成9年2月4日以降の遅延損害金を含む合計金12億4720万1661円を名古屋市に支払いました。
名古屋市は、平成3年12月、老朽化した南陽工場に替わるゴミ処理工場の建設に着手しました。同二期工事は、平成5年6月に216億3000万円で鹿島建設が落札したのですが、入札の過程で、名古屋市建築局次長(当時)、元市議(公明党所属)が深く関与した「官製談合」が行われたことが発覚。これが新南陽工場事件です。平成7年3月、談合により吊り上げられた価格を名古屋市に返還、賠償することを求め、名古屋地裁に住民訴訟を提起したものです。
裁判では、談合の事実、談合により名古屋市が被った損害額等について争われましたが、判決は談合がなければ落札価格より9億円以上は安く落札されていたことが推定できると判断しました。
新南陽工場住民訴訟は、こうして住民の力で、談合を行ったゼネコンに12億円余の損害賠償を名古屋市に支払わせるという画期的な成果を収めることができました。今回の最高裁決定と鹿島建設による賠償金の支払いは、談合を繰り返すゼネコン、工事入札に関わる行政担当者、政治家等に対する警告を発するものとなるでしょう。
私は、平成7年の提訴以来、原告弁護団の事務局長として活動してきましたが、裁判がこうした成果を収めることができ、感無量です。
同裁判に寄せられたみなさまのご支援、ご協力に熱く御礼申し上げます。
弁護士 長谷川一裕