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過労死をめぐる諸問題

2005年12月07日

すぐに労災申請を!

 過労死とは働き過ぎによって健康が損なわれ場合によっては死に至るという現象を言う用語です。国際的にも「KAROUSHI」という用語で紹介されています。過労自殺は表の通り増加傾向にあります。

 過労死が発生する背景としては、事業者が労働時間の管理について無頓着な点が上げられます。その背景には、時間外労働時間を定めた36協定では、1ヶ月の残業時間の上限を45時間以下でなければならないとの通達がありますが、法的な拘束力がないことと、また、労働者の過労死の場合に事業者が刑事裁判を受けると言うこともほとんどないという現状があります。

 過労死になった人は、労災の対象事業であれば、労働基準監督署に労災申請を行ったり、会社が労働者の安全配慮義務を怠ったために労働者を死亡に至らせた場合には、会社に対して、損害賠償請求を行うことができます。

 では、これらの手続において、どのような点が問題になっているのでしょうか。まず、労働時間、労働実態の把握が非常に困難であるということです。事業者が労働時間を正確に記録していない場合、明確な証拠がないことが多いです。会社には労働時間を管理する義務がある以上、義務を尽くしていなければいないほど事業者に有利になってしまいます。

 次に、労働者に事故とは別の疾病(高血圧、飲酒、喫煙)がある場合には、業務が原因で労災が発生したのか、基礎疾病が原因なのかの判断ができない場合があります。ただ、過重労働のストレスが原因で基礎疾病が悪化したりする場合があり、一概には関係しないとは言えないはずです。

 弁護士 白川秀之

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