刑法改正
刑法が改正されます
刑法、刑事訴訟法の一部が改正され、2006年(平成18年)5月28日より施行されます。
窃盗罪等に罰金刑の導入
これまでは、懲役刑や禁固刑など、懲役、禁固刑など身体を拘束する刑罰しか規定されていなかった窃盗罪、公務執行妨害罪に50万円以下の罰金刑が新設されます。
また、業務上過失致死傷(交通事故などで被害者に怪我をさせたり死なせてしまった犯罪)について、これまで罰金刑の上限が50万円だったのが100万円まで引きあげられます。
今回の改正は、略式命令裁判を利用できるかどうかに関わってきます。
略式命令とは
略式命令とは、本来であれば、正式な裁判手続を経て、証拠調べをしたりしなければならないところ、一定の軽微な犯罪で、被疑者に異議がない場合に簡単な手続で裁判をする制度です。
略式命令は、罰金刑(今回の改正で100万円以下になります)でなければ利用できない手続だったので、窃盗罪や公務執行妨害罪のように罰金刑の規定のない犯罪では利用できず、公判という通常の手続を踏まなければなりませんでした。
それが、今回の改正で、窃盗罪、公務執行妨害罪でも略式命令を利用することができるようになりました。これは、万引きなどのな窃盗事案の増加に対応するためだとされています。
改正前の犯罪について
日本では罪刑法定主義を取っている関係上、改正法が施行された後の犯罪については改正法が適用されます。
では、改正前の犯罪について、改正後は新しい法律と古い法律のどちらを使うべきでしょうか。この点については、刑法6条に規定があり、「犯罪後の法律によって刑の変更があったときは、その軽いものによる。」とされています。今回の改正によって、罰金刑が付け加わったため、下限が広くなったため(懲役刑や禁固刑などよりも罰金刑の法が軽い刑罰です)、軽い新法が適用されます。