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消費者団体訴訟制度が実現

2006年07月27日

 1. 消費者団体訴訟制度とは、直接には被害を受けていない消費者団体が、消費者に代わって、消費者全体の利益のために、被害防止などを目的として訴訟を起こす権利を認める制度です。
これによって、消費者被害の未然防止を図ることができるのではと、大きな期待が寄せられています。

 2. では、どのような目的でこのような制度が制定されたのでしょうか。
消費者被害事件では、同種の被害が大量発生するケースが多いことはよく知られています。それにもかかわらず、従来の民事訴訟制度では、被害にあった本人しか訴訟を提起することができず、ただ一人の被害救済にとどまっていました。また、被害額も少額の場合が多いため訴訟まで至らず泣き寝入りするケースも多くありました。さらに当該個人の被害が回復されてもその効果は他には及ばないため、その後の被害も止められないなどの限界がありました。
そこでこれを補うため、消費者団体自身が、不適切な勧誘や契約を差し止めることを認める制度を求めてきましたが、今回の消費者団体訴訟制度は、上で述べたような不都合を克服するものとして制定されたものです。

 3. 具体的にはどのような場合に、どんなことができるのでしょうか。
第1に、訴訟を提起することができるのは、内閣総理大臣から認定を受けた「適格消費者団体」に限られます。
第2に、消費者契約において、過大な解約料を課すなどの不当な契約条項が使用されていたり、あるいは消費者契約締結に際して不当な勧誘方法が行われているのが発見された場合に、当該条項の使用禁止や当該行為の差し止めを求めて訴訟を提起することができるようになります。
と言っても、いきなり訴訟提起できるわけではなく、当該事業者に対して事前に改善申し入れの通知をして、相手事業者がそれに従わなかった場合に訴訟提起することができるという手順を踏むことになります。
これまで、消費者団体が事業者に改善を申し入れても、事業者は全く相手にせず無視してきたという対応に比べ、今後は、事業者も消費者団体の申し入れを無視することができなくなるのではないかと思われ、その点でも活用の機会の多い制度です。

 4. 愛知県では昨年12月に、今回の消費者団体訴訟制度新設を見越して、学者、消費者団体等が中心となって「あいち消費者被害防止ネットワーク」を発足させており、同ネットワークがこの制度の適格消費者団体となるべく準備中です。
消費者被害根絶のために、今後同制度の発展が望まれます。

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