即決裁判制度について
即決裁判制度が始まります。
2006年10月2日より、即決裁判制度がスタートしました。
今日はこの制度の解説についてお話ししたいと思います。
即決裁判制度とは、(1)事案が明白であり、(2)軽微であり、(3)証拠調べが速やかに終わると見込まれる事件について、できる限り即日に判決を言い渡し、自由刑「懲役刑、禁固刑」については、必ず執行猶予の言い渡しをしなければならない裁判です。
即決裁判は、事案が明白である必要があります。そのため、事実を争う否認事件については即決裁判制度は用いられないことになります。
即決裁判の対象になるのは事案が軽微な事件「死刑、無期、短期一年を超える懲役・禁固刑」の犯罪は除外されます。そのため、業務上過失致死傷は対象ですが、危険運転致死罪(酒酔いや、速度超過が著しい場合のような交通事故の場合)は対象とできません。対象としては、初犯の薬物事犯や軽微な出入国管理及び難民認定法違反事件(オーバーステイ)を想定しているようです。
即決裁判制度の問題点
即決裁判では、軽微な事案に対して、正規の公判のような手続きをし、そのために、被告人を長期間拘留する、現在の刑事裁判における運用が改善することができ、被告人の負担を減らすといったメリットがあります。
ただ、この裁判において、一旦判決が出た場合には、事実が誤っていることを理由により上位の裁判所に控訴をすることはできません。そのため、一旦判決が出てしまうと後から争うことができません。
そのため、即決裁判においては、手続きを取るか取らないかという点で慎重な手続きが規定されています。
1 即決裁判の申し立てには、被疑者の同意が必要です
2 上記の同意は判決が下るまでならば、いつでも徹回できます。
3 被疑者に弁護人がついている場合には、弁護人の同意が必要である。
4 弁護人や被疑者が同意している場合でも裁判所は即決裁判を行うに不適当であると判断する場合には、正式の裁判に移ることが出来ます。
即決裁判制度への対応
即決裁判制度は、執行猶予が確実な事案で、身柄解放を早く行うことが出来ることを期待できる制度だと言われています。
ただ、執行猶予判決が制度として補償されているというわけではありません。裁判所が審理の結果、執行猶予判決ではなく、実刑判決が相当であると考えた場合には、裁判所が即決裁判ではなく、普通の裁判にすると言う可能性もあります。
そのため、即決裁判の制度を勧められても、安易に執行猶予を期待して、即決裁判は弁護人が必ずつく裁判なので、弁護人とよく相談して慎重の決める必要があります
略式裁判との違い
略式裁判とは、本来であれば、正式な裁判手続を経て、証拠調べをしたりしなければならないところ、一定の軽微な犯罪で、被疑者に異議がない場合に簡単な手続で裁判をする制度です。
略式命令は、100万円以下の罰金刑のみを課すことができ、この手続を利用するためには被疑者が同意する必要があります。
ただ、略式裁判に不服がある場合には、不服を申し立てて正式の裁判を求めることが出来ます。