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国の原爆症認定行政 5度断罪!

2007年03月27日

東京地裁で勝訴判決!

 3月22日,東京地方裁判所で争われていた原爆症集団訴訟の判決が言い渡されました。

 判決は,原告30人(うち11人が死亡)のうち,21人について,放射線と疾病の因果関係を認め,不認定処分の取り消しを命じました。

 判決は,厚生労働省が「科学的」と称して,2001年以降用いてきたDS86や原因確率論を柱とする「審査の方針」について,「急性症状等が生じていると認められる事が存在するのであれば,その事実を直視すべきであって,それがDS86による線量評価の結果と矛盾するからといってDS86の評価こそが正しいと断定することはできない」

 原因確率論の合理性については,「原因確率に基づく判断にも一定の限界があることは否定できないのであるから,特に,原因確率が低いとされた事例に関しては,これを機械的に当てはめて放射線起因性を否定してしまうことは相当ではなく,個々の被爆者の個別的事情を踏まえた判断をする必要がある」

 放射線起因性の判断手法について,「科学的知見にも一定の限界が存するのであるから,
科学的根拠の存在を余りに厳密に求めることは,被爆者の救済を目的とする法の趣旨に沿わない」
との判断を示し,これまでの厚生労働省の認定行政が,原爆被害の実態を正しく反映せず,法の趣旨に反するものであることを明確に認めました。

 しかし,判決は9名の原告について,その請求を棄却しました。裁判所の認定は,被爆地点,入市の日時や,急性症状の存否等の原告側主張を,事実認定においてこれを斥けたものであり,その点はきわめて不当であり到底納得できません。

仙台地裁で勝訴判決!

 3月20日,仙台地方裁判所でも,原爆症集団訴訟の判決があり,原告2名を原爆症として認める判決を言い渡しました。

 判決は,「原因確率を機械的に適することによって,真実原爆放射線による申請にかかる疾病が生じた者について,放射線起園性を否定する結果を生じさせることは可能な限り避けなければならない」という厳しい判断を明確に示しました。

政府・厚生労働省は一括解決をせよ!

 昨年の大阪地裁(5月12日),広島地裁(8月4日)に続き,今年の名古屋地裁(1月31日),仙台地裁(3月20日),東京地裁(3月22日)と,現在の原爆症認定制度が5度断罪されたことになります。

 このように,原爆症認定についてこれを根本的に批判する司法判断が定着しているという事実を踏まえ,高齢化している被爆者に一日も早く救済の手をさしのべるように,判決が原爆症と認定した原告に関する控訴を断念するとともに,原爆症認定行政を抜本的に改めるべきです。

 厚生労働大臣に「控訴するな」
「認定制度を抜本的に改めよ」の声を集中しましょう。

〔要請先〕 厚生労働大臣  柳沢 伯夫
〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2 厚生労働省
TEL 03-5253-1111(代表)
FAX 03-3502-3090(被爆者担当の健康局総務課)
e-mail    KKSOUMU@mhlw.go.jp

(抗議・要請文例)

 政府・厚生労働省の被爆者行政は,司法により5度断罪されました。これまでのいずれの判決でも,現行の被爆者行政,特に原爆症と認める基準のあり方について厳しい批判を行っています。
厚生労働省は,この判決を真摯に受け止め,控訴しないよう要求します。
被爆者の平均年齢は70歳を超えています。裁判に立ち上がっている被爆者たちは高齢で,病を抱えて必死の思いで闘っています。多くの被爆者が相次いでなくなっています。被爆後62年を迎えようとする中,時間をかけて争うことはできません。
原爆症認定制度を抜本的に改めるため,被爆者との協議を直ちに始めるべきです。

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