最新のDV防止法、平成26年1月3日に施行!
ドメスティック・バイオレンス(DV)は、直訳すると「家庭内の暴力」となりますが、ここでは「配偶者やパートナーからの暴力」についてお話しします。
◆DV防止法の成立◆
DVは、従前はいわゆる夫婦げんか、つまり個人的な問題だと考えられ、社会の中で軽視されてきました。当事者自身も、家庭内のトラブルを外に出すのは恥だ、自分さえ我慢すれば丸く収まる、といった意識を持たされ、暴力を受けていても表に出しにくい状況にありました。
しかし、家庭という日常の場で暴力による支配を受け続けることは、被害者に対して身心とにも大きな傷を負わせます。また、両親の暴力を目撃した子どもの心にも深刻な影響を与えますし、親の暴力が子どもに及ぶことも珍しくありません。さらに暴力で支配された家庭で育った子どもは、暴力に対して許容的になりがちです。
このようなことから配偶者からの暴力被害に対する法的な対策の必要性が自覚され、平成13年「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(DV防止法)が成立しました。
◆被害者保護のために◆
この法律では、なぐる・けるといった身体的な暴力だけでなく、身体的暴力に準ずる、心身に有害な影響を及ぼす言動も「暴力」に含まれる、としました。そしてこの法律によって、被害者からの相談や一時保護など緊急支援が実施されています。
その後、より被害者の保護をはかるため、3回の法改正が重ねられ、最新のDV防止法が、平成26年1月3日に施行されました。
◆一緒に生活していた交際相手からの暴力も◆
今回、改正されたのは、「生活の本拠を共にする交際相手」からの暴力についても、配偶者からの暴力と同じく法の適用対象とする、という点です。
これは、結婚届を出していないし内縁関係ともいいがたいけれども、一緒に生活していた交際相手からの暴力によって、被害者やその親族が殺害されるという痛ましい事件が発生したことなどから適用範囲の拡大が図られたものです。
配偶者や交際相手に対する暴力であっても、暴力は犯罪であって、重大な人権侵害です。
とくに近年は、若い恋人たちの間での「デートDV」という暴力が問題視されています。
どのような形態の暴力も、被害者の尊厳を深く傷つける行為です。暴力は決して許さない、という社会にしていきたいですね。
2014/1/28 弁護士 山内益恵(やまうちますえ)
(「新婦人きた」へ寄稿)