外国人との離婚について
日本に住む外国人は2005年に200万人を超え、北区界隈を歩いていても、外国の方を見掛けることが多くなりました。このような中で、外国人との結婚や養子縁組を通じた国際家族が増加しています。今回は、外国人との離婚についてお話しします。
◆外国人との離婚◆
愛知県弁護士会の外国人相談には、しばしば外国人との離婚の相談が寄せられます。相談者の一番の心配事は、日本で離婚ができるのか、どんな手続きが必要なのか、ということです。世界の法律を見てみると、届け出だけで離婚できる日本とは違い、裁判所による別居までは認めても離婚は許さない国(フィリピン。ただし外国人との離婚では特例あり)、裁判所の意思確認を経ないと離婚できない国(韓国)などがあり、配偶者がこうした国の出身だと、特に心配になるようです。
◆夫婦双方が離婚を望む場合◆
結論から言えば、夫婦双方が離婚を望む場合、日本での離婚は、片方が日本に暮らす日本人であれば、日本人カップルと同じく役所への届出だけでできます。しかし、このような離婚は日本国内でしか効力がなく、相手の国でも離婚したことにするためには、別に相手の国での手続きをしなければならないことが多いです。ただし、相手の国に移住して生活する可能性がなければ、相手の国での婚姻歴がそのままでもさほど困ることはありません。
◆相手方が離婚に反対の場合◆
問題は相手方が離婚に反対の場合です。この場合、日本人側が日本で暮らしていれば、日本の離婚手続き(調停、裁判)が利用できますが、相手方が日本国内にいて呼び出しができることが条件となります。別居後、相手方が自分の国に戻ってしまっているケースでは、これらの手続きは利用できません。ただし、別居の原因が相手方のDVや、悪意の遺棄(配偶者を扶養する義務を一方的に放棄して、逃げだし行方をくらますなど)、行方不明などの場合には、日本での裁判が認められています。
外国人との離婚には、日本人同士とは違う特殊性はありますが、実際には、相談により解決可能な事例はたくさんあります。
お困りの際にはお気軽にご相談ください。
2013/3/1 弁護士 裵明玉(ぺみょんおく)
(「新婦人きた」へ寄稿)