中小企業と金融商品取引被害(4)
金融ADRの制度は、平成21(2009)年の金融商品取引法等改正により創設されました。
銀行が次々に販売していた金融商品が円高の影響で中小企業に甚大なダメージを与え、社会問題となったためです。
銀行側にも、金融商品の販売方法に問題がありました。個々のケースでも、銀行側の問題の大きさによって解決の中身も変わってきます。どのような点が問題となるのでしょうか。
(1)説明義務違反
本来、契約はするもしないも自由で、契約当事者間では対等な関係にあります。しかし、金融商品では、そうはいきません。金融機関の担当者はプロですが、たいていの中小企業は全くの素人です。しかも、金融商品は複雑すぎてすぐに理解できるものではありません。ですから、金融機関の担当者が、契約の中身について、その仕組みや危険性、企業にとって不利な点も包み隠さず説明しなければならないのです。
実際には説明を受けましたという書類にサインをしているのが通常です。
銀行側も対策はしているのですが、その時具体的にどのような説明を受けて、どのように理解して契約に至ったか、メモなどに残しておくと役に立つこともあります。
(2)適合性原則違反
適合性原則とは、銀行が、顧客の投資の目的や財産状態、投資経験等からみて、不適合(不釣合い)な金融商品を勧誘してはならないという原則です。例えば、その顧客の外貨建取引がどれだけあってリスクヘッジのニーズがどれだけあるか、損がでた時に顧客にどれほどの影響があるかなど、その会社に合った商品かよく吟味して売らなければならないわけです。実際には銀行側も利益を追求するので、不釣合いな商品を勧められることがよくあります。
金融商品取引には、このような問題が必ずといっていいほど含まれています。銀行側もそのことを理解しているので、ADR等の解決に応じるのです。金融商品でお困りの場合は、まずはご相談ください。
2013/05/28
弁護士 加藤悠史
(ホウネット中小企業メールマガジンより転載)