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労働(1) 解雇について

2013年06月21日

解雇について

(1)今号より、労働事件について6回に分けてお話ししていきたいと思います。

 第1回は労働事件で最も多くの相談がある解雇についてです。まずは、具体的な事例から見ていきましょう。

(2)具体的事例

 私は、大学院卒業後、ゲーム会社に就職し、人事部、企画制作部、開発業務部に従事してきました。この間、私は仕事上の問題で上司に注意されることや、顧客から苦情がなされることがあり、勤務成績査定はどちらかと低い方でした。その後、会社は私を特定の業務がない「パソナルーム」に配置し、退職勧告を行いましたが、私が応じなかったため、「労働能率が劣り、向上の見込みがない」との理由で解雇されました。

 会社の解雇は有効なのでしょうか?(セガエンタープライゼス事件の事案)

(3)解雇とは

 解雇とは、使用者による労働契約の解約をいいます。

 労働契約法16条は、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と定めています。

 そのため、使用者が労働者を解雇した場合、?解雇について客観的に合理的な理由がない場合や、?解雇をなすことについての社会通念上の相当性がない場合は、労働者からその解雇の有効性が争われることになります。

(4)解雇が有効になる場合解雇の理由が労働者の能力不足や、病気の長期化といった場合を、一般に普通解雇と呼んでいます。

 能力不足だと言われても、解雇が有効になるためには、使用者による労働者の能力評価が妥当である必要があります。使用者は様々な事情を挙げて、労働者は能力が低かったと言ってきますが、解雇を導くために恣意的に評価をしてくることがあります。そのため、使用者側の評価の根拠を一つずつ丹念に反論していく必要があります。

 また、仮に使用者の評価が不当な点がなかったとしても、そのことから解雇をすぐに有効としているのではなく、労働者の能力が全体の中で相対的に低いだけでは解雇できない、使用者は解雇回避(雇用維持)のために労働者の能力向上を図るための努力(教育、研修など)が求められるとしています。

(5)中途採用の場合

 中途採用で特定のポストや上級管理職として採用され、労働条件が優遇されている場合は、教育訓練や配転まで求められない場合もあり、新卒社員よりも解雇が緩やかに判断される場合もあります。

(6)解雇を言い渡されたら

 解雇を言い渡されたら、まずは解雇の理由がなんであるのかを明らかにさせましょう。解雇理由について労働者から求められたら使用者は明らかにしなければなりません。

 また、使用者から退職届の提出を求められたとしても応じてはいけません。退職届をいったん提出してしまうと後々解雇を争うことが非常に難しくなります。

 解雇に納得がいかない場合は早急に弁護士に相談をすることをお勧めします。

2013/06/12 弁護士 白川秀之
(ホウネットメールマガジンより転載)

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