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外国人研修生問題が多発

2008年07月08日

時給300円の労働者

 外国人研修生という制度をご存じですか?
外国人研修生とは、外国人の研修・実習という目的で3年間日本の企業に招き入れる制度です。本来の目的は、研修及び実習と言うことなのですが、現在は、低賃金労働者の代替ということで問題が多発しています。
研修であれば、きちんとした技能の習得が必要となるはずなのに、実態は単純労働をさせる労働者となっています。しかも、外国人ということで、時給が300円という、労働基準法すら守られずに働かされている例もあります。

強制貯金にパスポートの取り上げ

 私も、研修生の事件に取り組んでいます。
主に取り組んでいるのは、強制貯金とパスポートの取戻し交渉です。
どうゆうことかというと、研修生は、毎月一定金額の貯金を半ば強制的にさせられ、その貯金は受入企業が管理し、またパスポートも受入企業に取り上げられ、管理されているのです。
外国人研修生の場合には、実態としては、本人たちが逃亡を防止するために、このようなことをするのです。そもそも、強制貯金は、労働基準法18条によって禁止されています。
これは外国人労働者であっても同じ事です。しかし、研修生が相手だとこれがまかり通ってしまうのです。
研修生は現代の奴隷制だともいわれていますが、その一端が伺えるかと思います。

制度の改正が必要

 個別の交渉をしていて、相手方になる会社は大企業でなく、圧倒的に中小企業です。個々の会社は、経営も楽でない会社も多いでしょう。交渉していて、会社の経営者も根っからの悪人だと思う人はそんなにいません。
しかし、目の前に時給300円で使える制度が存在すると、人は悪魔にも変わってしまうのでしょうか。
個々の事件の解決はもちろん必要ですが、制度を改めていくことが求められていると実感します。
現在、全国でこの問題に取り組んでいる若手弁護士を中心に、外国人研修生問題弁護士連絡会というネットワークを立ち上げ(6月1日設立)、全国で連携しながら事件に取り組んでいます。

 2008年7月8日  弁護士 加藤悠史

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