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御浜町で住民訴訟を提訴!

2008年12月18日

バブル時代の第3セクター

 三重県に御浜町という1年中みかんがとれることで有名な町があります。
この町で20年以上前に、パーク七里御浜というリゾート施設を第3セクター方式で設立する計画が持ち上がり、昭和61年5月にパーク七里御浜株式会社が設立されました。会社はリゾート施設として「パーク七里御浜モール『ピネ』」を建設しましたが、運営当初より経営状態は乏しく、住民の避難を浴びていました。にもかかわらず、御浜町は、平成6年まで12億円以上の出資を続けてきました。
しかし、パークの経営は改善の見込みをみせず、住民の税金の投入への批判がふくれあがってきます。当時の町長は、パークに固執し、さらなる資金注入をはかったのですが、住民や議会の追求から、出資は出来ず、融資という方法で資金を投入しました。この際に、町長は、融資を強引に通すため、パークの債務を連帯保証したのです。この時に融資されたのは9億5000万円という大金でした。
まさにバブルに踊らされた、第3セクター運営としか言えない燦々たる状況です。
(パークは現在道の駅として運営されている。)

パークはいよいよ破綻

パーク七里御浜

(写真は、店舗が撤退して閑散とするパーク内部)
 パークは、その後も改善の兆しを見せず、税金の支払いすらままならない状況となったため、町を相手方に、特定調停という手続を申立てました。特定調停の中で、パークに対する債務を一定額免除し、元町長の連帯保証債務も最大6000万円まで減額することに決まりました。それでも元町長は連帯保証債務の弁済をしないため、町は、町長の土地の仮差押えなどを行った上で、債務の弁済を求める裁判を提訴しました。この時の町長は、町の財産を適切に運用するよう努力を図っていたのです。

町長が変わりなれ合いに

 ところが、元町長への裁判が継続中に、訴えを提起した町長が町長選挙で変わりました。それが、現在の町長なのですが、現在の町長は、裁判において、6000万円まで減額された債務の5000万円を減額する和解をしてしまったのです。当時、明らかになっていた資産だけでも3800万円程度は存在していたのにです。
住民の怒りはいかばかりか。出資や融資の時から、不満が続出していたにもかかわらず、最後は責任を曖昧にして幕引きを図る町長に対して、200名の住民が町長の財産管理(低額で和解をしたこと)について、監査請求を行いました。そして、監査請求が却下されたため、200名のうち181名が原告となり、御浜町に対して平成20年12月4日、住民訴訟を提訴しました。
御浜町は人口1万人ばかりの町ですので、原告の数が住民の怒りの大きさを物語っています。

地方自治のあり方は

 この裁判では、地方自治のあり方が問われていると感じます。本来地方自治は、住民に密着したサービスを行うためのものであり、住民から預かった財産を住民のために使用していく機関です。
町はその財産を、見込みのないパークに注ぎ込み無駄にしてしまったばかりか、元町長に対する責任も放棄してしまいました。一方で、国民健康保険税等を滞納した住民に対しては、整理回収機構へ送り強制的に回収をはかるなど、住民の福祉を無視した行政を行っています。
裁判を通じて、事実を明らかにし、住民の目線にたった行政へ転換していく必要を感じています。
当事務所からは、長谷川と加藤が弁護団として活動しています。

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