働く権利とは何か〜「派遣切り」とのたたかい〜
派遣切りを巡る社会状況
昨年から、派遣切りが社会問題化しています。3月末時点で、約15万人の非正規労働者が職を失い、そのうち、派遣労働者が68%を占めるとする調査結果も出されています。
三菱電機を相手に提訴
このような情勢を反映して、派遣労働者が声をあげています。事務所では、名古屋北部青年ユニオンの相談を受けていますが、大曽根に製作所をもつ三菱電機に対しては、直接の労働者であることを認めさせるための裁判を起こしました。原告のAさんは、2002年から三菱で働き続け、時には、資格が必要な危険な作業も指示されるなど、正社員と何ら変わらない仕事をしてきました。Bさんは、2003年から三菱で働き続け、雇用契約書には書かれていない業務を続けてきました。社内では、食堂の価格が正社員の倍であるなど、様々な差別も受けています。他方で、生産が落ちていったら、使い捨てのように解雇するのです。こんな働かせ方が許されるのか。人間らしい労働のあり方を問い、派遣労働者の声を代弁する裁判にしたいと考えています。
労働者派遣法の原則
そもそも、戦後の法律では、封建的な口入れ業や中間搾取などの弊害をなくため、労働者供給事業が職業安定法44条で禁止されました。労働者派遣法は、この例外として、一時的・臨時的な雇用に限って認められたもので、様々な制限が設けられています。
例えば、派遣受入期間が最大3年間までという制限があります。これは、労働者派遣が、常用雇用の代替であってはならないという派遣法の趣旨が現れた規定です。そのため、派遣就業の場所ごとの同一業務について派遣受入期間の制限をこえて受け入れを続ければ、例え途中で派遣労働者が入れ替わっても違法となるのです。しかも、これは派遣受入前に偽装請負を行っていればその期間も通算されます。
労働局への申告も
多くの企業ではこの規定に違反しています。そして、この期間制限違反があると、派遣先企業には直接雇用を申し込む義務があると法律に定められています。しかし、このような申し込みはなされず、あっさりと解雇されるケースがほとんどです。このことを労働局に申告する取り組みも進めており、個人では期間制限をこえないケースで申告を受理されるなどの成果もあがっています。
まずは、このような権利があることを知り、声をあげることが、派遣切りを食い止めるためにも重要であると思います。