知的財産法(6)−著作権トラブル相談室−
知的財産法(6)−著作権トラブル相談室−
前回までは、商標について4回にわたり解説を行ってきましたが、今回からは、同じく知的財産の一つである「著作権」についてのお話です。
著作権というと、皆さんは、「自分の生み出した著作物をどう守るか」よりも、「他人が生み出した著作物をどう利用するか」ということに関心があると思います。 そこで、今回からは、「著作権トラブル相談室」と題し、著作物を利用する際のルールや注意点などについて、具体的な場面に即して考えてみましょう。
Q.会社のホームページを作ろうとしたら、ネット上に同業他社で素敵なページを見つけました。真似して作ってしまっても良いのでしょうか?
A.ホームページには、文章だけでなく、イラストや写真、動画など、様々なコンテンツが掲載されていますが、これらが「著作物」といえる場合、許可なく勝手に自社のホームページに掲載すれば、著作権のうち「複製権」や「公衆送信権」の侵害になります。
では、「著作物」といえる文章や写真というのはどういうものでしょうか。法律は、「思想または感情を創作的に表現」したものだけを著作物として認めています。ですから、ありふれた表現(例:時候のあいさつ)や客観的な事実(例:ある日の株価終値)を述べているだけの文章は、著作物とは言えないでしょう。著作物でなければ、無断で利用しても著作権侵害の問題は生じません。
写真については、被写体や構図などに撮影者の「創作性」が表現されています。特に芸術性が高い写真でなくても、そのまま転載してしまえば著作権侵害に当たる可能性は高いでしょう。
さらに、文章や写真それぞれは著作物とは言えない場合でも、ページ上の各コンテンツの配置等に創作性が認められ、全体として1個の著作物といえる場合もあります。そのため、ページ全体から受ける印象が似すぎていないかにも注意しましょう。
2012年4月25日
弁護士 鈴木哲郎
(ホウネット中小企業メールマガジンより転載)
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