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知的財産法(3)−商標法の中身−

2012年05月10日

知的財産法(3)−商標法の中身−

 前回は、「商標とは何か?」という導入の話をしましたが、今回から商標を保護する法律である商標法について、少しずつ中身を紹介していきます。

Q1.商標法はどんなものを商標として保護しているのですか?
A1.商標法では、商標を「文字、図形、記号もしくは立体的形状もしくはこれらの結合」と定義しています。

(1)文字商標
文字のみからなる商標のことをいいます。たとえばソニー株式会社
http://www.sony.co.jp/)、「SONY」の文字は文字商標となります。

(2)形商標
 図形のみから構成される商標です。わかりやすい例では、ヤマト運輸株式会社
http://www.kuronekoyamato.co.jp/)の親猫が子猫をくわえている図形などは図形商標に当たります。

(3)記号商標
 暖簾(のれん)記号、仮名文字、アルファベット文字を輪郭で囲んだもの、文字を図案化し組み合わせた(モノグラム化した)記号、記号的な紋章のことをいいます。三菱自動車工業株式会社
http://www.mitsubishi-motors.co.jp/)のスリーダイヤ・マークは記号商標に分類されます。

(4)立体商標
 商標を立体化したものや、実在または架空の人物、動物等を人形のように立体化したものなどをいいます。道端に立っているカーネルサンダース人形を思い浮かべると分かりやすいでしょう。

(5)結合商標
 異なる意味合いをもつ文字と文字、図形と図形、図形・記号等と文字を2つ以上組み合わせた商標をいいます。

Q2.商標は、出来上がったその瞬間から保護されるのですか?
A2.いいえ、そうではありません。商標法では、商標が保護されるための以下のようなルールを定めています。

(1)登録主義
 商標は、特許庁で登録されることによって商標権という権利が発生します(「登録主義」)。これに対し、アメリカなどでは使用することで権利が発生するという考え方を採用しており、これを「使用主義」といいます。登録主義を採用すると、実際にはその商標を使用しないのに、他人に使わせないようにするため防衛的に出願することや、ストック(貯蔵)商標が増加するという弊害のおそれもあります。そこで、日本の商標法は、登録主義を採用しつつも、一部に使用主義的な考え方も取り入れています。

(2)先願主義
 同一または類似する商品やサービスに同じ商標が登録されてしまうと、誤認や混同を招いてしまいます。そのため、同一または類似の商標出願が2つ以上競合した場合は、使用したのが先か後かではなく、最先の出願に登録が認められています。

(3)審査主義
 出願された商標について、商標法が定める登録要件が備わっているかどうかを、審査官が審査した上で登録します。

2011/11/17
弁護士 鈴木哲郎
(ホウネット中小企業メールマガジンより転載)
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