気持ちはわかる!〜身近な判例紹介〜 第2回
気持ちはわかる!〜身近な判例紹介〜
第2回 コンビニですべった買い物客さん 弁護士鈴木哲郎
第1回が一部で好評だったこともあり、めでたく第2回を迎えることができました。
先日、名古屋でも結構な量の雪が降りましたね。道路ですべって転んでしまった方も多いのではないでしょうか。
今回の「気持ちはわかる!」裁判は、コンビニの店内ですべってしまった買い物客さんのお話です。
【あらすじ】
Xさん(22歳女性)は、ある日、お昼ごはんを買いにファミリーマートへ行ったのですが、パンと牛乳を持ってレジに向かおうとした時、足がすべらせて転んでしまいました。お店が、床をモップで水拭きしたまま放置していたので、床が濡れてすべりやすくなっていたのです。
この時の転倒で、Xさんは左腕に大きなけがを負ってしまい、約2年間病院通いが続きました。
床が濡れていなければこんなことには・・・。Xさんは、ファミリーマート(お店ではなく本社)を訴えて、治療費や慰謝料の請求をしました。
【裁判の結果】
裁判所は、「ファミリーマート本社は、買い物客が床ですべらないように、水拭きの後はちゃんとから拭きをするように各店舗の店長や従業員に対して指導しなきゃいけません」と言って(実際はこんな気安い話し方ではありませんが)、Xさんの言い分に理解を示し、ファミリーマート本社に賠償を命じました。裁判所は正しい掃除の仕方まで教えてくれるんですね!
もっとも、「Xさんだって、靴底が減ったすべりやすい靴で、しかもパンと牛乳を持って両手がふさがっていたんだから責任はあるでしょ」ということで、賠償金は半額に減らされてしまいました。
【余談】
私も毎日のようにコンビニには行きますが、この裁判から得た教訓は以下のとおりです。
・床がきちんとから拭きしてあるか注意する。
・靴底の減った靴で買い物に行かない。
・買い物かごを使う。
日常のどこに危険が潜んでいるか分かりません。みなさんも気をつけましょう。
今回の裁判の詳細は、以下のページに掲載されています。
http://www.kokusen.go.jp/hanrei/data/200306.html